○白川町職員の公正な職務の執行の確保に関する条例
令和5年12月14日
条例第12号
(目的)
第1条 この条例は、職員の法令等の遵守に関する基本的事項を定めることにより、町政運営の透明化と法治行政の確立を推進するとともに、職員の公正な職務の執行の確保を図り、もって町民全体の公益を保護し、町民の町政に対する信頼を確保することを目的とする。
(1) 法令等 法律及び法律に基づく命令(告示を含む。)、町の条例、規則及び訓令をいう。
(2) 職員 町の職員であって地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職の職員及び同条第3項に規定する特別職の職員をいう。
(3) 職員等 次に掲げる者をいう。
ア 職員
イ 町が委託契約、請負契約その他の契約を締結している者が行う当該契約に基づく事業に従事する者
ウ 地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定により町が指定した者が行う町の公の施設の管理業務に従事する者
(4) 任命権者 地方公務員法第6条に規定する者
(5) 公益通報 職員等について次に掲げる事実(通報する者が受けた処分その他の措置に係るもの、その他専ら通報する者又は特定のものの私的利益に係るものを除く。以下、「通報対象事実」という。)が生じ、又は生ずるおそれがある旨を、この条例の定めるところにより、通報すること(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正な目的で行うものを除く。)をいう。
ア 職員等の職務の執行に関する事実であって、法令等に違反するもの。ただし、裁量処分に係る事実にあっては、裁量権の範囲を超え、又はその濫用がある場合に限る。
イ 町民の生命、健康又は財産に重大な影響を与えるおそれのある事実
ウ その他町民の利益等公益に反するおそれのある事実
(6) 不当要求行為 職員等以外の者が職員等に対して行う当該職員等の職務に関する要望、請求、要請その他名称のいかんを問わず職員等の作為又は不作為を求める一切の行為(職員等が職務でなく他の職員等に対して行うものを含む。)のうち、次に掲げるものをいう。
ア 正当な理由なく次に掲げることを求める行為
(ア) 特定の者に対して著しく有利な取扱い又は不利な取扱いをすること。
(イ) 特定の者に対して義務のないことを行わせ、又はその権利の行使を妨げること。
(ウ) 職務上知り得た秘密を漏らすこと。
(エ) 執行すべき職務を行わないこと。
イ 本町が当事者となる契約において、本町以外の契約の当事者に不当な利益が生ずるよう契約の対価又は条件を操作することを求める行為
エ 職員等の公正な職務の執行を妨げることが明白である行為
オ 暴力、乱暴な言動その他の社会的相当性を逸脱する手段を伴う行為
(職員の基本的心構え)
第3条 職員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者でないことを深く自覚し、常に公正な職務の執行に当たらなければならない。
2 職員は、町職員としてふさわしい品位と能力を養い、良識ある行動を常に心がけなければならない。
3 職員は、町を愛する心を持ち、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に全力で取り組まなければならない。
(職員の責務)
第4条 職員は、職務の遂行に当たっては、正当な理由なく、一部の者に対して有利な取扱い又は不利な取扱いをする等不当な差別的取扱いをしてはならず、常に町民の立場に立って、公正かつ誠実にこれを遂行しなければならない。
2 職員は、自らの行動が町全体の信用に影響を及ぼすことを自覚し、職務上の権限の行使に当たっては、職務上の地位を自ら又は特定の者の私的な利益のために用いる等町民の疑惑や不信を招く行為をしてはならない。
3 職員は、行政の執行に関する法令等だけでなく、特に自らの職務に関連する法令等に精通するように努め、職務を適正に執行しなければならない。
4 職員は、職務に関する情報を適正に管理することにより、公正な職務の執行を損なわないようにしなければならない。
5 職員は、法令等の規定に基づくその職務の執行を全うするとともに、その結果を町民に説明する責任を果たすよう努めなければならない。
6 職員は、職務の執行における手続の明確化及び町政運営の透明化を図るために、施策の意思決定の内容及び過程を適正に記録するよう努めなければならない。
(管理監督者の責務)
第5条 職員を管理し、又は監督する地位にある職員は、その地位の重要性を自覚し、部下職員の公正な職務の執行の確保に努め、部下職員に対し、倫理の保持及び法令等の遵守のために必要な指導及び援助を行うとともに、職員の倫理の保持及び法令等の遵守に関して取り組む施策において中心的な役割を果たさなければならない。
(任命権者の責務)
第6条 任命権者は、法令等を率先して遵守するとともに、町民の信託に応えるために、町民全体の公益の増進を目指し、議会と連携しながら、透明性の高い、公正な町政の運営に取り組まなければならない。
2 任命権者は、その権限の下にある組織において法令等の遵守及び倫理の保持が図られるよう、効果的な研修の実施、体制の整備その他必要な措置を講じなければならない。
(町民の責務)
第7条 町民は、公益通報を行おうとするときは、町民全体の公益を保護するためにこれを行わなければならず、専ら自ら又は特定の者の私的利益を追求することとなるような目的のためにこれを行ってはならない。
2 町民は、不当要求行為により職員の公正な職務の執行を妨げないようにしなければならない。
(行政監察員)
第8条 町長は、公益通報及び不当要求行為に適切に対処するため、第4項各号に掲げる役務の提供を受けることを目的とする契約(以下「行政監察契約」という。)を締結しなければならない。
2 町が行政監察契約を締結することができる者は、地方公共団体における法令等の遵守に関し優れた識見を有する弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)である者とする。
3 行政監察契約の期間は、3年とする。ただし、行政監察契約は、更新することができる。
4 行政監察契約を締結し、かつ、当該契約の期間内にある者(以下「行政監察員」という。)は、次に掲げる職務に従事する。
(1) 公益通報の受付、通報対象事実の調査に対する助言、通報対象事実の是正措置等に関する協議及び支援並びに通報対象事実の調査及び是正措置等の結果の通知に関すること。
(2) 公益通報に伴う不利益取扱いに係る申出の受付、当該不利益取扱いの事実の調査に対する助言、当該不利益取扱いの是正措置等に関する協議及び支援並びに当該不利益取扱いの事実の調査及び是正措置等の結果の通知に関すること。
(3) 不当要求行為に対する措置についての協議及び支援に関すること。
5 行政監察員は、独立して職務を行う。
6 行政監察員は、この条例の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、公正な職務の執行の確保のために必要な事項について、任命権者に対し意見を述べることができる。
7 行政監察員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。行政監察員でなくなった後も同様とする。
(コンプライアンス委員会の設置)
第9条 町長は、町における法令遵守と職員倫理の醸成を組織的に推進するため、コンプライアンス委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会の所掌事項は、次に掲げるものとする。
(1) 公益通報の受付、調査及び報告並びに必要に応じ、是正等の措置を勧告すること。
(2) 第11条第2項に規定する不利益取扱いの申出の受付、調査及び報告並びに必要に応じ、是正等の措置を勧告すること。
(3) 不当要求行為の報告の受付及び措置等の協議に関すること。
(公益通報)
第10条 次に掲げる者は、通報対象事実が生じ、又は生ずるおそれがあると思料するときは、委員会又は行政監察員に文書又は口頭で公益通報をすることができる。
(1) 職員等
(2) 当該公益通報の日前1年以内に職員等であった者
(3) 町民
2 公益通報は、氏名及び住所を明らかにして行わなければならない。ただし、通報対象事実があると信ずるに足りる相当な根拠を示したときは、匿名で行うことができる。
3 行政監察員は、公益通報を受けた場合は、その旨を委員会に通知するものとする。この場合において、行政監察員は、必要な助言を行うことができる。
(1) 町長 副町長
(2) 議員 議長(当該公益通報が議長に係るものにあっては、副議長)
(3) 選挙管理委員会委員 選挙管理委員会委員長(当該公益通報が選挙管理委員会委員長に係るものにあっては、選挙管理委員会委員長の職務を代理する委員)
(4) 第2条第3号イに掲げる者 町が委託契約、請負契約その他の契約を締結している者
(5) 第2条第3号ウに掲げる者 地方自治法第244条の2第3項の規定により町が指定した者
5 任命権者は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、通報対象事実があったかどうかについて決定するものとする。
7 任命権者は、第5項の規定により、通報対象事実があると決定した場合は、当該通報対象事実に係る行為の是正のために必要な措置、法令等に基づく措置、再発防止のために必要な措置その他の適当な措置を講じなければならない。
9 委員会及び行政監察員は、自らが受け付けた公益通報に係る前項の規定による通知を受けたときは、その旨を公益通報者に通知しなければならない。ただし、匿名による公益通報であるとき又は公益通報者が通知を希望しないときは、この限りでない。
(不利益取扱いの禁止等)
第11条 何人も、公益通報者及び公益通報に係る通報対象事実の調査に協力した者(以下「公益通報者等」という。)に対して公益通報をしたこと又は公益通報に係る通報対象事実の調査に協力したことを理由としていかなる不利益な取扱いもしてはならない。
2 公益通報者等は、公益通報をしたこと又は公益通報に係る通報対象事実の調査に協力したことを理由として、不利益な取扱いを受け、又は受けるおそれがあると思料するときは、委員会又は行政監察員にその旨の申出をすることができる。
(不当要求行為への対処等)
第12条 職員は、不当要求行為があったとき、又は不当要求行為に関する事象を知ったときは、口頭その他適当な方法により直ちに委員会に報告を行うものとする。
2 委員会は、不当要求行為が発生し、又はそのおそれがあると認めるときは、職員等の安全を確保するなどの緊急的な措置を講じるとともに、当該不当要求行為に関して任命権者に報告しなければならない。
3 任命権者は、前項の報告を受けたときは、不当要求行為を行った者(以下「要求者」という。)に対し、当該不当要求行為の中止の警告、捜査機関への告発その他の必要な措置を講ずるものとする。
4 任命権者は、前項の規定による措置を行った場合において、その後も当該不当要求行為が繰り返し行われるときは、当該要求者の氏名又は名称、当該不当要求行為の内容その他必要と認める事項を公表することができる。
5 任命権者は、前2項の規定による措置を講ずる場合において、委員会に協議するものとする。
6 委員会は、前項の協議において、必要があると認めるときは、行政監察員に支援を求めることができる。
(委任)
第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第8条及び行政監察員に関する規定は、令和6年4月1日から施行する。
2 この条例の規定は、この条例の施行の日以後に行われる公益通報及び不当要求行為について適用する。