○白川町立学校における教育職員の在校等時間の上限等に関する方針
令和7年4月1日
目次
第1章 総則
第1節 趣旨
第2節 対象の範囲
第2章 教育委員会が講ずべき措置等
第1節 業務を行う時間の上限
第2節 教育委員会が講ずべき措置
第3節 留意事項
第3章 長期休業期間等における集中した休日の確保のための一年単位の変形労働時間制
第1節 目的
第2節 長期休業期間等における集中した休日の確保のため一年単位の変形労働時間制を適用する場合に教育委員会等が講ずべき措置
附則
第1章 総則
第1節 趣旨
近年、教育職員(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和46年法律第77号。以下「給特法」という。)第2条第2項に規定する教育職員をいう。)の業務が長時間に及ぶ深刻な実態が明らかになっており、持続可能な学校教育の中で効果的な教育活動を行うためには、学校における働き方改革が急務となっている。また、平成30年7月に公布された働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)により、労働基準法(昭和22年法律第49号)第36条第1項の協定(以下「36協定」という。)について時間外労働の限度時間が規定された。
公立学校の教育職員については、正規の勤務時間(給特法第6条第1項に規定する正規の勤務時間をいう。以下同じ。)外に行われる公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令(平成15年政令第484号)第2号に掲げる業務(以下「超勤4項目」という。)以外の業務については、時間外勤務(同令第1号に規定する時間外勤務をいう。以下同じ。)を命じないものとされているが、正規の勤務時間外に校務として行われる業務については、当該業務が時間外勤務を命じられて行うものでないとしても学校教育活動に関する業務であることについて正規の勤務時間内に行われる業務と変わりはなく、こうした業務も含めて教育職員が業務を行う時間を管理することが、学校における働き方改革を進める上で必要不可欠である。
このような状況を踏まえ、国は、給特法第7条第1項の規定に基づき、公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針(令和2年文部科学省告示第1号。以下「指針」という。」)を定めた。
白川町においても、教育職員の業務が長時間に及ぶ実態は課題となっており、学校の教育をさらに良いものへと発展させていくため、指針及び白川町立学校における教育職員の在校等時間の上限等に関する規則(令和7年白川町教育委員会規則第4号)に基づき、学校における働き方改革を進めるための方針を定めるものとする。
第2節 対象の範囲
本方針に掲げる措置は、白川町教育委員会(以下「教育委員会」という。)が所管する白川町立学校(以下「学校」という。)における教育職員全てを対象とするものとする。なお、その他の職員(事務職員、学校栄養職員等)については、36協定における時間外労働の限度時間を適用する。
第2章 教育委員会が講ずべき措置等
第1節 業務を行う時間の上限
(1) 勤務時間の考え方
教育職員は、社会の変化に伴い児童生徒等がますます多様化する中で、語彙、知識、概念がそれぞれ異なる一人一人の児童生徒等の発達の段階に応じて、指導の内容を理解させ、考えさせ、表現させるために、言語や指導方法をその場面ごとに選択しながら、適切なコミュニケーションをとって授業の実施をはじめとした教育活動に当たることが期待されている。このような教育職員の専門性や職務の特徴を踏まえ、また、教育職員が超勤4項目以外の業務を行う時間が長時間化している実態も踏まえると、正規の勤務時間外にこうした業務を行う時間も含めて教育職員が働いている時間を適切に把握することが必要である。
このため、教育職員が学校教育活動に関する業務を行っている時間として外形的に把握することができる時間を当該教育職員の在校等時間とし、教育委員会が管理すべき対象とする。
具体的には、正規の勤務時間外において超勤4項目以外の業務を行う時間も含めて教育職員が在校している時間を基本とし、当該時間にイ及びロの時間を加え、ハ及びニの時間を除いた時間を在校等時間とする。ただし、ハについては、当該教育職員の申告に基づくものとする。
イ 校外において職務として行う研修への参加や児童生徒等の引率等の職務に従事している時間として教育委員会が外形的に把握する時間
ロ 教育委員会が定める方法によるテレワーク(情報通信技術を利用して行う事業場外勤務)等の時間
ハ 正規の勤務時間外に自らの判断に基づいて自らの力量を高めるために行う自己研鑽の時間その他業務外の時間
ニ 休憩時間
(2) 上限時間の原則
教育委員会は、教育職員の在校等時間から所定の勤務時間(給特法第6条第3項各号に掲げる日(代休日が指定された日を除く。)以外の日における正規の勤務時間をいう。以下同じ。)を除いた時間(以下「時間外在校等時間」という。)を、イ及びロに掲げる時間の範囲内とするため、教育職員の業務量の適切な管理を行うこととする。
イ 1日の時間外在校等時間の1箇月の合計時間(以下「1箇月時間外在校等時間」という。) 45時間
ロ 1日の時間外在校等時間の1年間の合計時間(以下「1年間時間外在校等時間」という。) 360時間
(3) 児童生徒等に係る臨時的な特別な事情がある場合の上限時間
児童生徒等に係る通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い、一時的又は突発的に所定の勤務時間外に業務を行わざるを得ない場合においては、教育委員会は、前項の規定にかかわらず、教育職員の時間外在校等時間をイからニまでに掲げる時間及び月数の範囲内とするため、教育職員の業務量の適切な管理を行うこととする。
イ 1箇月時間外在校等時間 100時間未満
ロ 1年間時間外在校等時間 720時間
ハ 1箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の1箇月、2箇月、3箇月、4箇月及び5箇月の期間を加えたそれぞれの期間において1箇月あたりの平均時間について80時間
ニ 1年のうち1箇月において45時間を超えて業務を行う月数について6箇月
第2節 教育委員会が講ずべき措置
(1) 勤務時間の把握
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)等において、タイムカードによる記録、電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法による勤務時間の把握が事業者の義務として明確化されたことを踏まえ、教育委員会は、教育職員が在校している時間は、ICTの活用やタイムカード等により客観的に計測することとし、校外において職務に従事している時間についても、できる限り客観的な方法により計測することとする。
また、当該計測の結果は公務災害が生じた場合等において重要な記録となることから、公文書としてその管理及び保存を適切に行うこととし、保存期間は3年とする。
(2) 労働基準法等の遵守
教育委員会は、休憩時間や休日の確保等に関する労働基準法等の規定を遵守しなければならない。
(3) 健康と福祉の確保
教育委員会は、教育職員の健康及び福祉を確保するため、イからヘまでの事項に留意することとする。
イ 在校等時間が一定時間を超えた教育職員に医師による面接指導を実施する。
ロ 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保する。
ハ 教育職員の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施する。
ニ 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進する。
ホ 心身の健康問題についての相談窓口を設置する。
ヘ 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は教育職員に産業医等による保健指導を受けさせる。
(4) 学校の環境整備
教育委員会は、各学校において時間外在校等時間の上限が遵守されるよう、抜本的な業務削減など、必要な環境整備を行うこととする。
また、上限方針を踏まえた各学校における取組の実施状況を把握し、その状況を踏まえ、業務の分担の見直しや適正化、必要な環境整備等の在校等時間の長時間化を防ぐための取組を実施することとし、特に、教育職員の在校等時間が本方針で定める上限時間の範囲を超えた場合には、各学校における業務や環境整備等の状況について事後的に検証を行うこととする。
(5) 実施状況の報告等
教育委員会は、教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の健康及び福祉を図るために講ずべき措置に関し、町長の求めに応じて実施状況等について報告を行い、専門的な助言を求めるなど連携を図ることとする。
(6) 方針の周知
教育委員会は、本方針の内容について、保護者及び地域住民その他の関係者の理解が得られるよう、それらの者に対して広く本方針の周知を図ることとする。
第3節 留意事項
(1) 勤務時間について
学校の業務は、上限時間(第2章第1節第2号及び第3号に規定する時間をいう。以下同じ。)を超えないことを前提とする。この場合において、教育委員会は、教育職員が学校の業務を正規の勤務時間で終われるように調整に努めるものとする。
(2) 上限時間について
教育職員及び教育委員会等の関係者は、指針及び本方針が、教育職員が上限時間まで業務を行うことを推奨するものと解してはならず、また、学校における働き方改革の総合的な方策の一環として策定されるものであり、在校等時間の長時間化を防ぐための他の取組と併せて取り組まれるべきものであることに十分に留意しなければならない。
なお、校長等の管理職職員及び教育委員会(以下「教育委員会等」という。)は、決して、在校等時間の長時間化を防ぐための取組を講ずることなく、学校や他の教育職員に対し、上限時間を遵守することを求めるのみであってはならない。
(3) 臨時的な特別な事情について
前節第3号の臨時的な特別な事情とは、児童生徒の生命や安全を守るために緊急に対応を要する場合とし、教育委員会は、当該事情により教育職員の時間外在校等時間が1箇月当たり45時間を超えた場合でも、年間360時間の上限時間が守られるよう、教育職員の適切な勤務時間管理に努めなければならない。
(4) 虚偽の記録等について
在校等時間について形式的に上限時間の範囲内とすることが目的化し、教育職員にあっては、授業などの教育課程内の学校教育活動であって真に必要な活動であるものをおろそかにし、実際の時間より短い虚偽の時間を記録することがあってはならず、教育委員会等にあっては、真に必要なものをおろそかにさせ、虚偽の記録をさせることがあってはならない。
(5) 持ち帰り業務について
本来、業務の持ち帰りは行わないことが原則であり、上限時間を遵守することのみを目的として自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加することは、厳に避けなければならない。仮に業務の持ち帰りが行われている実態がある場合には、その実態把握に努めるとともに、業務の持ち帰りの縮減に向けた取組を進めるものとする。
第3章 長期休業期間等における集中した休日の確保のための一年単位の変形労働時間制
第1節 目的
教育職員には、学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)第29条第1項の規定による夏季、冬季、学年末等における休業日等の期間(以下「長期休業期間等」という。)が存在し、その業務について年間を通じた在校等時間の多寡が生じることが見込まれる。教育職員に対する一年単位の変形労働時間制は、教育職員が自分自身の勤務時間を柔軟に設定することにより長期休業期間等において一定期間のまとまった休日を確保し、リフレッシュの時間等に充てることで、ひいては児童生徒等に対して効果的な教育活動を行うことに資するとともに、教育職員の職としての魅力の向上に資することにより意欲と能力のある人材が教育職員として任用され、学校教育の水準の維持向上を図ることを目的に掲げるものである。
教育委員会は、本制度を長期休業期間等において休日を集中して確保することを目的とする場合に限り適用すべきものとし、本制度を適用するに当たり、教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置等について定めるものとする。
第2節 長期休業期間等における集中した休日の確保のため一年単位の変形労働時間制を適用する場合に教育委員会等が講ずべき措置
(1) 上限時間の適用
本制度を適用する教育職員の上限時間については、第2章第1節中「45時間」とあるのは「42時間」と、「360時間」とあるのは「320時間」とする。
(2) 本制度の適用
本制度が、教育職員の時間外在校等時間の上限時間の範囲内であることを前提としていることに十分留意した上で、適用しようとする期間(以下「対象期間」という。)の初日の属する年度の前年度において当該教育職員の時間外在校等時間が上限時間の範囲内であること、当該職員が所属する学校の在校時間の縮減の取組実施状況等を確認し、対象期間において当該教育職員の時間外在校等時間が前号の規定により読み替えられた上限時間(以下「読替上限時間」という。)の範囲内となることが見込まれる場合に限り、適用するものとする。
また、対象期間において当該教育職員の時間外在校等時間を読替上限期間の範囲内となるよう調整するものとする。
(3) 本制度を適用する教育職員の措置
対象期間において、本制度を適用する教育職員に対し、イからホまでに掲げる全ての措置を講じることとする。
イ タイムカードによる記録、電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法による在校等時間の把握を行うこと。
ロ 担当する部活動の休養日及び活動時間をスポーツ庁及び文化庁が別に定める基準の範囲内とすること。
ハ 通常の正規の勤務時間(それぞれの日における本制度を適用しない場合の正規の勤務時間をいう。以下この節において同じ。)を超える勤務時間の割振りについては、長期休業期間等において確保できる勤務時間を割り振らない日の日数を考慮した上で、年度初め、学校における諸行事が行われる時期その他の本制度の対象期間のうち業務量が多い一部の時期に限り行うこと。
ニ 通常の正規の勤務時間を超えて勤務時間を割り振る日において、本制度の適用前と比較して、通常の正規の勤務時間を超えて勤務時間を割り振ったことを理由とした担当授業数の追加及び部活動その他児童生徒等の活動に係る時間の延長又は追加並びに本制度の適用前には当該教育職員が所属する学校において行われていなかった業務の当該教育職員への新たな付加により在校等時間を増加させることがないよう、留意すること。
ホ 本制度の適用前と比較して、所定の勤務時間を通常の正規の勤務時間より短くする日については、勤務時間の短縮ではなく勤務時間を割り振らないこととし、当該日を長期休業期間等において連続して設定すること。
ヘ 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。
(4) 本制度を適用する教育職員が属する学校の措置
対象期間において、本制度を適用する教育職員が属する学校についてイからハまでに掲げる全ての措置を講じることとする。
イ 本制度の適用前と比較して、部活動、研修その他の長期休業期間等における業務量の縮減を図ること。
ロ 超勤4項目として臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに行われるものを除き、職員会議、研修その他の本制度が適用される教育職員であるか否かにかかわらず参加を要する業務については、通常の正規の勤務時間内において行うこと。
ハ 本制度を全ての教育職員に対して画一的に適用するのではなく、育児を行う者、介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるよう配慮すること。
(5) 関係法令の遵守
勤務時間、休憩時間及び休日の確保等に関する労働基準法、地方公務員法、給特法その他の関係法令の規定を遵守するとともに、文部科学省から発出する通知等について留意することとする。
(6) 方針の周知
教育委員会等は、本制度に関して本方針に定める事項を踏まえて講ずる措置その他教育職員の健康及び福祉を図るために講ずる措置について、保護者及び地域住民その他の関係者の理解が得られるよう、それらの者に対して広く周知を図ること。
附則
この方針は、令和7年4月1日から適用する。